本間るみ子オフィシャルサイト

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いま、日本のチーズがおもしろい

道南のチーズ工房を巡る旅 Vol.1

2024年9月2日~4日
2018年開催の「十勝のチーズを巡る旅」に続き、TOYO Cheese Factory の長原ちさとさんにコーディネートしていただきました。晴天に恵まれた2泊3日、実り多い旅になりました。

■タカラ牧場&チーズ工房タカラ

9月2日、新千歳空港に集合の後、きのこ王国でお弁当ランチ。午後1時前にチーズ工房タカラに到着しました。真っ黒に日焼けした斉藤愛三(なるみつ)君(親しみを込めて、文中は「君」呼びで失礼します!)が笑顔で迎えてくれました。
タカラ牧場は札幌から山ひとつ超えた羊蹄山麓の標高300メートル、牧場は夏でも涼しく、牛たちにとって過ごしやすい環境にあります。でも、2024年は異常な暑さで、お盆明けからやっと涼しくなったそうで、牛たちは二番草を食んで、ゆっくり反芻中でした。


牛たちは気持ちよさそうに草を食んでいました

愛三君は5年間、新得共働学舎でチーズ製造に携わり、そこで出会った美紗子さんとご結婚。ふたりでオーヴェルニュのサンネクテール農家でチーズ製造に関わって帰国。2007年5月にチーズ工房を立ち上げました。


印象的なロゴが目印です


窓の中はアイスシェルターになっています。袋に入れた水をたくさん積み上げ、冬の寒さで凍らせ、気温が上がると自然に溶ける。そのおかげで壁を隔てた隣の熟成庫は夏でも低温が保たれる仕組みになっています

「タカラ」はアイヌ語で「夢を育む」という意味。放牧されている牛は約50頭。放牧地は12ha、採草地(乾草用)が38ha。牛一頭に1haの広さは理想的です。牛たちの餌にこだわり、土や草づくりを管理しているのはご両親とお兄さん家族ですから、安心してチーズづくりに没頭できるというわけです。


愛三君はボードをつかって丁寧に説明してくれました

工房に併設されているショップでは、フレッシュのソガイ、4ヵ月熟成のムスヒ、12ヵ月熟成のタカラ。そしてサプライズは2019年8月製造の36ヵ月熟成のタカラを用意してくださったことでした。

長期熟成チーズの豊潤な余韻に浸りながら、2017年に新設された自然のエネルギーを活用したアイスシェルター(右3つ上の写真参照)と、その隣の部屋で熟成中のチーズも見学しました。


チーズ工房の銅鍋はピカピカに磨かれています


この熟成庫の隣にアイスシェルターが

2017年からスタートしたプロジェクト「子供とつくろう、種から育てる森」は200年かけて森をつくろうという計画です。夢はますます広がります。


工房の外に、小さな森が生まれ始めています

■ニセコチーズ工房

創業者の近藤孝志さんは、大手流通企業を退社してフランスのマミロール国立乳製品学校でチーズ製造を学び、さらに蔵王酪農センターで日本人の嗜好に合うチーズを学び、2006年に事業をスタート。息子の裕志さんは、工房がオープンした頃はチーズ製造に関心がなかったそうですが、体力的に大変だから手伝ってくれないか、と言われたのがきっかけで2010年から運営に加わり、すぐにチーズ作りの面白さにハマったといいます。


2020年、手狭になった創業の地からここに移転


裕志さんがチーズ製造の熱い気持ちを語るのを
嬉しそうに聞いているお父さんの孝志さん

アイデアマンの裕志さんは次々と新しいチーズをつくって販売。「二世古 雪花(パパイヤ&パイナップル)」は2017年のモンディアル・デュ・フロマージュで銀賞。同じく(柚子)は2019年のワールド・チーズ・アワードで銅賞。同じく(ラムバナナ)は2020年のジャパンチーズアワードで最優秀部門賞受賞。青かびの「二世古 空(くう)」はジャパンチーズアワードの青かび部門で最優秀部門賞を受賞してチーズ業界からも注目されています。


話題のブルーチーズ「二世古 空(くう)」
おいしくいただきました!

裕志さんは2023年に2代目社長に就任。2023年7月からは、フェルミエで仕事をしていたいっちゃん(松本一子さん)が加わり、ますます楽しみです。オリジナルチーズを堪能させていただきました。


2023年7月から製造に加わった。
いっちゃんこと松本一子さん


彼女のオリジナルチーズ、ウォッシュタイプ
おいしくいただきました

■ニセコ高橋牧場

美しく雄大な羊蹄山を間近に望む地で土づくり、牧草づくりを基本に牛を育て、良質な乳でつくるアイスクリームやスイーツで人気のニセコ高橋牧場に行きました。


ショーケースには牛乳、ヨーグルト、チーズ!


見るだけでワクワクする看板

ミルク工房の一角に2016年12月にチーズ工房とピザレストランをオープンしました。チーズの製造を窓越しに見学できる廊下が延び、その奥に焼き立てのピザが楽しめるレストランがあります。


窓越しにチーズ製造が見学できるように
廊下が延びています


出来立てのピザを提供するレストラン

チーズは個性の強いものではなく、子供からお年寄りまで召し上がっていただける食べやすいチーズを提供しているそうです。用意していただいたチーズはミルクの風味の優しい味わいでした。
外に出ると、ちょうど羊蹄山の雲が消えて美しい姿を見せてくれました。(つづく)

ニセコ高橋牧場の遠藤 威(つよし)さんと
旅のコーディネートをしてくれた長原さん

チーズの旅
千葉房総チーズの旅Vol.3

2024年3月11 & 12日

■木戸泉酒蔵

千葉房総チーズ旅の2日目は明治12年(1879 年)創業の木戸泉酒蔵からスタートです。
一升瓶を抱えたご機嫌なタヌキが迎えてくれました。5代目蔵元兼杜氏の荘司勇人さんに丁寧に案内していただきました。独自開発した山廃仕込み、自然醸造による旨い酒ができた背景などしっかりと学んだ後は試飲タイム。お酒が入ると時間の感覚がマヒしてしまいます。熟成酒と新酒を購入させていただいたあと、高秀牧場へと向かいました。


一升瓶を抱えたタヌキが迎えてくれました


熟成酒を試飲させていただきました


五代目の庄司勇人さん夫妻

■高秀牧場

循環型酪農に取り組んでいる高秀牧場。前日訪ねた「チーズ工房千」も「Café HARU」も高秀牧場の乳をつかってチーズ製造をされています。
私たちを迎えてくださったのは3代目の馬上温香さん。さっそく牛舎に案内していただきました。牛さんたちも私たちに興味津々!大切に育てられていることがわかります。餌は稲、玄米、ビール粕など。1頭あたり1日60kg‼
200頭の餌は大変な量ですが、自給率は75%と聞いて驚きました。自然資源を無駄にせず、循環させていく「循環型酪農」に取り組み、街の活性化と食の安全性に貢献。
見学の後はチーズのグラタンやピッツァ、たっぷりチーズのランチタイム。食後のジェラートもおいしくいただきました。

牛舎の牛さんはネームプレートがあり、大事に育てられていることがわかります。


かわいい子牛に癒されます。


馬上温香さんは餌の説明を丁寧にしてくださいました。

チーズも食後のジェラートもおいしくいただきました。

■チーズ工房 IKAGAWA

雨のため、牛たちには会えませんでしたが、五十川さんのご自宅に招いていただきました。5人のやんちゃな子供たちの仕業で障子はボロボロ。冷たい風が吹き込んできますが五十川さんは半袖!
もともと義理のお父さんが2008年に牛2頭を飼ってチーズ造りをしていたので、その跡を継いで2012年に移住し、チーズ製造をスタートしたと言います。いま、牛は6頭に増え、搾乳牛は4頭。搾乳量は約40リットル!チーズは6種類製造。大自然の中で暮らす五十川さんからパワーをいただきました。


障子が破れ、冷たい風が吹き込んできますが、五十川さんは半袖。

チーズもおいしくいただきました。

チーズの旅
千葉房総チーズの旅Vol.2

2024年3月11 & 12日

■Café Haru

チーズ工房「千」を後に、田んぼの中にのどかに佇む「HARU」を訪問。
吉見さんは高秀牧場で6年間、チーズ製造責任者として仕事をされてきました。青かびタイプのチーズ「草原の青空」がフランスで開催された「モンディアル・デュ・フロマージュ」でSUPER GOLDを受賞したのは2015年のことでした。高秀牧場の質の高いミルクが成果に結びついたといいます。
高秀牧場で培ってきたことを、自分の裁量で挑戦したいと2018年7月にCafé Haruをオープン。「Haru」はアイヌ語で大地から得た食物、豊かな食の恵み、という意味があるそうです。四季折々の風景を楽しみながらゆっくり過ごせる心地いい空間。週末には県外からもファンが訪れています。
無口で多くを語らない吉見さんですが、優しくバランス良いチーズは吉見さんのお人柄そのものです。

細いたんぼ道をはいったところにあります


吉見さんのお人柄が感じられる優しいチーズ、4種類(フロマージュブラン、ハル、ブルー、スープル)試食させていただきました。


吉見さんご夫妻を囲んで、記念撮影

■farm あき

海も山も近く、野菜は露地栽培で多品種。海藻や新米の時期は米ぬか、乗馬クラブの馬糞など活用して無農薬・無化学肥料で野菜作りをされている青木昭子さん。
露地栽培された野菜をレストランに出荷しています。
この時期に貴重な梨(王秋)にルーコラの花と種付け花。菜花はチーマディラーパ(カブの頭)。たくさん説明していただいたのに、記憶力低下ですぐに忘れてしまいますが、のどかな美しい景色はしっかりと記憶に残っています。

案内役は直前まで池袋でレストランを運営されていた売れっ子の木村藍さんです。


ウェルカムは梨にルーコラの花と種付け花


お皿を飾るお花を楽しそうに摘む木村藍さん


青木昭子さんに菜の花の種類もいろいろとあることを教えていただきました

■木村藍さんと柴田千代さん

夕食は木村藍さんの愛溢れる創作料理。作り手の顔が見える安心安全の食材でオリジナル料理をつくってくださいました。たったひとりですべてをこなすスーパーウーマン。
仕事を終えて駆けつけてくれた柴田千代さんがサーヴィスを担当。2人はお互い協力しあい学び、切磋琢磨。作り手も刺激されて、町が活気づいているのがわかります。
これから、ますます楽しみです。


菜の花を添えたテーブルセッティング

ひとりで料理を作ってニコニコと説明をしてくれる藍さんの愛溢れる料理に舌鼓


千代さんのサーヴィスも最高でした

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