プーリアのチーズと食の旅 Vol.1
2025年09月08日投稿
■ブッラータ・ディ・アンドリア Burrata di Andria(IGP)
中からとろ~り、デザートのようなブッラータに初めて出会ったのはローマでした。どうやってつくるのか見たいと産地のプーリアまで出かけたのは、1998年のことです。
ブッラータが生まれたのは比較的新しく、モッツァレッラをつくるカードが余って処理に困ったビアンキーニさんが、モッツァレッラを袋状にして中に生クリームを混ぜたカードを入れることを思いついたことがきっかけだといいます。出来上がったブッラータをアスフォデーロという緑の葉っぱに包んで販売したのが、プーリアを訪れる観光客に見いだされ、やがてイタリア国中を流通するほどに知名度を上げたのです。
南イタリアは、チーズを販売するお店が通りに面してあり、奥に製造所があるので、店先には出来立てが並べられていました。かつて日本のお豆腐屋さんもそうでしたね。
このときは着いたホテルで、「この近くでおススメのカゼイフィーチョを教えて欲しい」と聞くと、電話帳をコピーして4軒のカゼイフィーチョに印をつけてくれたことを思い出します。
1999年発行の「チーズで巡るイタリアの旅」でも紹介しました
あれから四半世紀。2024年10月、世界遺産のカステル・デル・モンテにある工房CASEIFICIO OLANDAに到着すると、ブッラータ・ディ・アンドリア協会のフランチェスコ・メンネーア会長をはじめ4人が待っていてくれました。
ブッラータ・ディ・アンドリア協会のフランチェスコ・メンネーア会長とスタッフたち
中庭に案内されるや、すぐにブッラータの製造が始まりました。チーズ職人のおじさんはカードを持ち上げて、楽しそうに丸めていきます。そして糸状に裂いた生地と生クリームを入れて袋を閉じて出来上がり。出来立ては熱々なので、試食用はちゃんと冷やしてあるものを出してくださいました。
カードはよく伸びて、気持ちよさそう
カードをちぎって丸めて、袋状にしたら、糸状に裂いた生地とクリームを詰めて袋を閉じます。とっても楽しそう
中庭ではブッラータ製造のデモの準備が整えられていました
たっぷり試食をした後は、協会のご招待でブッラータ尽くしのサプライズランチを楽しみました。
巨大なブッラータにナイフを入れて。心ときめきます
試食のブッラータ。テーブルにドーンと
この後も、ブッラータづくしのランチ
ブッラータ・ディ・アンドリアは、2017年に PGI(地理的表示保護)登録。
現在登録されているのは16軒だそうです。
■ワイナリー・ジャンカルロ・チェチ Giacarlo Ceci
午後はムジェ高原の斜面にあるすばらしい景観のワイナリー「ジャンカルロ・チェチ」を訪問しました。
すばらしい景観のジャンカルロ・チェチ。心地よい風が吹き抜けます。
すぐ近くにはブッラータの見学前に案内してもらったユネスコの世界遺産の登録されている八角形のお城があります。13世紀、神聖ローマ皇帝フリードリヒ2世によって建設されたお城です。
チェチ家の畑は1819年に土地を手に入れてから200年以上の歴史があり、8代目のジャンカルロはボローニャ大学で農業を学び、農場を引き継いだあと、オーガニックに転換したそうです。
2011年には世界でもっとも厳しいと言われるオーガニック認証のひとつ「Demeter デメテール」認証を取得しました。2010年からはクリーンエネルギーである太陽光発電を導入。
サステナブルで自然と共生、自然を尊重した農業をされています。
農場は250ha(葡萄畑70ha、オリーヴ畑100ha、トマト畑30ha、オークの森30haなど)オークの森はぽポドリカ牛が放牧されているいるそうです。牛は乳を搾るためではなく、堆肥をつくるために放牧しているのだといいます。ビオディナミ農法に牛糞は欠かせないのですね。
農園の案内は2匹のワンちゃんです
チェチ氏にはお会いできませんでしたが、農園を案内していただいた後、ゆったりとワインテースティング。DOCのカステル・デル・モンテ2022、2021、2016、DOCGのカステル・デル・モンテのロゼ2022。ワイワイと楽しいテースティングになりました。
4種類のワインをテースティング
港町トラーニ。時間がなくて残念でしたが、翌朝も早起きして散策を楽しみました
陽が落ちる前に港町トラーニのホテルにチェックイン。
海の幸をたっぷりといただきました。(つづく)