道南のチーズ工房を巡る旅 Vol.1
2025年07月01日投稿
2024年9月2日~4日
2018年開催の「十勝のチーズを巡る旅」に続き、TOYO Cheese Factory の長原ちさとさんにコーディネートしていただきました。晴天に恵まれた2泊3日、実り多い旅になりました。
■タカラ牧場&チーズ工房タカラ
9月2日、新千歳空港に集合の後、きのこ王国でお弁当ランチ。午後1時前にチーズ工房タカラに到着しました。真っ黒に日焼けした斉藤愛三(なるみつ)君(親しみを込めて、文中は「君」呼びで失礼します!)が笑顔で迎えてくれました。
タカラ牧場は札幌から山ひとつ超えた羊蹄山麓の標高300メートル、牧場は夏でも涼しく、牛たちにとって過ごしやすい環境にあります。でも、2024年は異常な暑さで、お盆明けからやっと涼しくなったそうで、牛たちは二番草を食んで、ゆっくり反芻中でした。
牛たちは気持ちよさそうに草を食んでいました
愛三君は5年間、新得共働学舎でチーズ製造に携わり、そこで出会った美紗子さんとご結婚。ふたりでオーヴェルニュのサンネクテール農家でチーズ製造に関わって帰国。2007年5月にチーズ工房を立ち上げました。
印象的なロゴが目印です
窓の中はアイスシェルターになっています。袋に入れた水をたくさん積み上げ、冬の寒さで凍らせ、気温が上がると自然に溶ける。そのおかげで壁を隔てた隣の熟成庫は夏でも低温が保たれる仕組みになっています
「タカラ」はアイヌ語で「夢を育む」という意味。放牧されている牛は約50頭。放牧地は12ha、採草地(乾草用)が38ha。牛一頭に1haの広さは理想的です。牛たちの餌にこだわり、土や草づくりを管理しているのはご両親とお兄さん家族ですから、安心してチーズづくりに没頭できるというわけです。
愛三君はボードをつかって丁寧に説明してくれました
工房に併設されているショップでは、フレッシュのソガイ、4ヵ月熟成のムスヒ、12ヵ月熟成のタカラ。そしてサプライズは2019年8月製造の36ヵ月熟成のタカラを用意してくださったことでした。
長期熟成チーズの豊潤な余韻に浸りながら、2017年に新設された自然のエネルギーを活用したアイスシェルター(右3つ上の写真参照)と、その隣の部屋で熟成中のチーズも見学しました。
チーズ工房の銅鍋はピカピカに磨かれています
この熟成庫の隣にアイスシェルターが
2017年からスタートしたプロジェクト「子供とつくろう、種から育てる森」は200年かけて森をつくろうという計画です。夢はますます広がります。
工房の外に、小さな森が生まれ始めています
■ニセコチーズ工房
創業者の近藤孝志さんは、大手流通企業を退社してフランスのマミロール国立乳製品学校でチーズ製造を学び、さらに蔵王酪農センターで日本人の嗜好に合うチーズを学び、2006年に事業をスタート。息子の裕志さんは、工房がオープンした頃はチーズ製造に関心がなかったそうですが、体力的に大変だから手伝ってくれないか、と言われたのがきっかけで2010年から運営に加わり、すぐにチーズ作りの面白さにハマったといいます。
2020年、手狭になった創業の地からここに移転
裕志さんがチーズ製造の熱い気持ちを語るのを
嬉しそうに聞いているお父さんの孝志さん
アイデアマンの裕志さんは次々と新しいチーズをつくって販売。「二世古 雪花(パパイヤ&パイナップル)」は2017年のモンディアル・デュ・フロマージュで銀賞。同じく(柚子)は2019年のワールド・チーズ・アワードで銅賞。同じく(ラムバナナ)は2020年のジャパンチーズアワードで最優秀部門賞受賞。青かびの「二世古 空(くう)」はジャパンチーズアワードの青かび部門で最優秀部門賞を受賞してチーズ業界からも注目されています。
話題のブルーチーズ「二世古 空(くう)」
おいしくいただきました!
裕志さんは2023年に2代目社長に就任。2023年7月からは、フェルミエで仕事をしていたいっちゃん(松本一子さん)が加わり、ますます楽しみです。オリジナルチーズを堪能させていただきました。
2023年7月から製造に加わった。
いっちゃんこと松本一子さん
彼女のオリジナルチーズ、ウォッシュタイプ
おいしくいただきました
■ニセコ高橋牧場
美しく雄大な羊蹄山を間近に望む地で土づくり、牧草づくりを基本に牛を育て、良質な乳でつくるアイスクリームやスイーツで人気のニセコ高橋牧場に行きました。
ショーケースには牛乳、ヨーグルト、チーズ!
見るだけでワクワクする看板
ミルク工房の一角に2016年12月にチーズ工房とピザレストランをオープンしました。チーズの製造を窓越しに見学できる廊下が延び、その奥に焼き立てのピザが楽しめるレストランがあります。
窓越しにチーズ製造が見学できるように
廊下が延びています
出来立てのピザを提供するレストラン
チーズは個性の強いものではなく、子供からお年寄りまで召し上がっていただける食べやすいチーズを提供しているそうです。用意していただいたチーズはミルクの風味の優しい味わいでした。
外に出ると、ちょうど羊蹄山の雲が消えて美しい姿を見せてくれました。(つづく)
ニセコ高橋牧場の遠藤 威(つよし)さんと
旅のコーディネートをしてくれた長原さん
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