本間るみ子オフィシャルサイト

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いま、日本のチーズがおもしろい

チーズの旅
千葉房総チーズの旅Vol.3

2024年3月11 & 12日

■木戸泉酒蔵

千葉房総チーズ旅の2日目は明治12年(1879 年)創業の木戸泉酒蔵からスタートです。
一升瓶を抱えたご機嫌なタヌキが迎えてくれました。5代目蔵元兼杜氏の荘司勇人さんに丁寧に案内していただきました。独自開発した山廃仕込み、自然醸造による旨い酒ができた背景などしっかりと学んだ後は試飲タイム。お酒が入ると時間の感覚がマヒしてしまいます。熟成酒と新酒を購入させていただいたあと、高秀牧場へと向かいました。


一升瓶を抱えたタヌキが迎えてくれました


熟成酒を試飲させていただきました


五代目の庄司勇人さん夫妻

■高秀牧場

循環型酪農に取り組んでいる高秀牧場。前日訪ねた「チーズ工房千」も「Café HARU」も高秀牧場の乳をつかってチーズ製造をされています。
私たちを迎えてくださったのは3代目の馬上温香さん。さっそく牛舎に案内していただきました。牛さんたちも私たちに興味津々!大切に育てられていることがわかります。餌は稲、玄米、ビール粕など。1頭あたり1日60kg‼
200頭の餌は大変な量ですが、自給率は75%と聞いて驚きました。自然資源を無駄にせず、循環させていく「循環型酪農」に取り組み、街の活性化と食の安全性に貢献。
見学の後はチーズのグラタンやピッツァ、たっぷりチーズのランチタイム。食後のジェラートもおいしくいただきました。

牛舎の牛さんはネームプレートがあり、大事に育てられていることがわかります。


かわいい子牛に癒されます。


馬上温香さんは餌の説明を丁寧にしてくださいました。

チーズも食後のジェラートもおいしくいただきました。

■チーズ工房 IKAGAWA

雨のため、牛たちには会えませんでしたが、五十川さんのご自宅に招いていただきました。5人のやんちゃな子供たちの仕業で障子はボロボロ。冷たい風が吹き込んできますが五十川さんは半袖!
もともと義理のお父さんが2008年に牛2頭を飼ってチーズ造りをしていたので、その跡を継いで2012年に移住し、チーズ製造をスタートしたと言います。いま、牛は6頭に増え、搾乳牛は4頭。搾乳量は約40リットル!チーズは6種類製造。大自然の中で暮らす五十川さんからパワーをいただきました。


障子が破れ、冷たい風が吹き込んできますが、五十川さんは半袖。

チーズもおいしくいただきました。

チーズの旅
千葉房総チーズの旅Vol.2

2024年3月11 & 12日

■Café Haru

チーズ工房「千」を後に、田んぼの中にのどかに佇む「HARU」を訪問。
吉見さんは高秀牧場で6年間、チーズ製造責任者として仕事をされてきました。青かびタイプのチーズ「草原の青空」がフランスで開催された「モンディアル・デュ・フロマージュ」でSUPER GOLDを受賞したのは2015年のことでした。高秀牧場の質の高いミルクが成果に結びついたといいます。
高秀牧場で培ってきたことを、自分の裁量で挑戦したいと2018年7月にCafé Haruをオープン。「Haru」はアイヌ語で大地から得た食物、豊かな食の恵み、という意味があるそうです。四季折々の風景を楽しみながらゆっくり過ごせる心地いい空間。週末には県外からもファンが訪れています。
無口で多くを語らない吉見さんですが、優しくバランス良いチーズは吉見さんのお人柄そのものです。

細いたんぼ道をはいったところにあります


吉見さんのお人柄が感じられる優しいチーズ、4種類(フロマージュブラン、ハル、ブルー、スープル)試食させていただきました。


吉見さんご夫妻を囲んで、記念撮影

■farm あき

海も山も近く、野菜は露地栽培で多品種。海藻や新米の時期は米ぬか、乗馬クラブの馬糞など活用して無農薬・無化学肥料で野菜作りをされている青木昭子さん。
露地栽培された野菜をレストランに出荷しています。
この時期に貴重な梨(王秋)にルーコラの花と種付け花。菜花はチーマディラーパ(カブの頭)。たくさん説明していただいたのに、記憶力低下ですぐに忘れてしまいますが、のどかな美しい景色はしっかりと記憶に残っています。

案内役は直前まで池袋でレストランを運営されていた売れっ子の木村藍さんです。


ウェルカムは梨にルーコラの花と種付け花


お皿を飾るお花を楽しそうに摘む木村藍さん


青木昭子さんに菜の花の種類もいろいろとあることを教えていただきました

■木村藍さんと柴田千代さん

夕食は木村藍さんの愛溢れる創作料理。作り手の顔が見える安心安全の食材でオリジナル料理をつくってくださいました。たったひとりですべてをこなすスーパーウーマン。
仕事を終えて駆けつけてくれた柴田千代さんがサーヴィスを担当。2人はお互い協力しあい学び、切磋琢磨。作り手も刺激されて、町が活気づいているのがわかります。
これから、ますます楽しみです。


菜の花を添えたテーブルセッティング

ひとりで料理を作ってニコニコと説明をしてくれる藍さんの愛溢れる料理に舌鼓


千代さんのサーヴィスも最高でした

チーズの旅
千葉房総チーズの旅

2024年3月11 & 12日
東京から近い千葉房総はチーズ生産者が集中しています。
柴田千代さんのスケジュールに合わせて1泊2日の旅報告です。

■チーズ工房【千】

雲一つない晴天に恵まれた月曜日。予定より少し遅れての到着でしたが、柴田千代さんが笑顔で迎えてくださいました。用意されたプログラムのすばらしいこと!まずは彼女の人生を映像とともに熱く語っていただきました。
高校時代に発酵食品に興味を持ち、チーズ職人になることを決めたといいます。東京農業大学卒業後に北海道新得農場に就職。2004年、スイスで開催された山のチーズのオリンピック、カゼウス・モンタニウスで、宮嶋望さんの「さくら」が金賞を受賞したことが、いつか自分の手で日本らしいチーズをつくりたいと思ったきっかけになりました。7年いた北海道から生まれ故郷の千葉に戻り、仕事をしながらチーズ製造ができるところを探すこと2年半。2014年、牧場の近くに母屋と納屋と二棟ある古民家に巡り合えたそうです。
いつも、ニコニコと楽しそうに話をしてくださる千代さんですが、平坦な道ではなかったはずです。日本独自の風味を持つチーズをつくる、自分しかできない仕事と生き方をするという生き方は胸が熱くなるものでした。
チーズ工房は微生物が棲みつくように設計。そして環境に優しいチーズづくりを考えて、それをしっかり形にしていることは感動的でした。
スペシャルランチのあとは工房を見学。彼女が長年研究してきた日本独自の乳酸菌と酵母でつくるこだわりのオリジナルチーズを試食、モッツァレッラ製造の実演まであり、できたてモッツァレッラをしっかり堪能しました。
盛りだくさんのメニューにすっかり興奮したまま、私たちは次の目的地へ向かいました。


チーズ工房千に到着。雲一つない晴天です


来客を通す母屋には、自己をプレゼンするものが丁寧に飾られています


チーズ工房の壁は板でできています。
保健所の認可をとりつけたのは知恵と努力の賜物です

こだわりのチーズたち


ランチはビビンバランチプレート!


モッツァレッラチーズ実演。千代さんの笑顔が最高です

記念撮影

チーズの旅
広島のチーズ生産者を訪ねて

2023年4月7 & 8日
広島は三良坂フロマージュの松原さんに誘っていただいた牧場ピクニック。2023年のことですが、この前日には広島に入り、生産者を巡る旅を楽しんできました。まずはその生産者の方々をご紹介します。

■上ノ原牧場カドーレ

前回訪問したのは2018年4月。晴天の日曜日で子供連れの家族で賑わっていました。 酪農一筋の藤岡さんが丁寧に案内してくだったことを思い出します。
今回私たちを迎えてくださったのは、営業を担当される新井さんです。現在飼育しているのは32頭(うち搾乳牛22頭)。頭数が減っているのは円安による餌の高騰が原因だと言います。牛舎はフリーバーンになっていて、牛たちはストレスレス。優しそうな顔をしています。牧場はロバや山羊、ウサギもいて、餌やりをして触れ合うことができるよう観光牧場として発展途中だといいます。
チーズを製造されている小澤優作さんはまだ1年半のキャリアですが、一人で黙々と仕事をされている姿は頼もしくみえました。賞味期限が短いモッツァレッラは金曜日に製造されているそうで、タイミングよく見学できたことはラッキーでした。


1年半のキャリアだという小澤さん


昭和48年に建てられた牛舎。牛たちは寄り添って仲良さそう


子牛もいました

■やぎ丸牧場

標高500メートルにある世羅町で暮らす重丸政紀さんと奈弥香さんは限られた土地で豊かに暮らす方法として持続可能な循環型農業を行いたいと、米作り、養鶏、酪農を組み合わせて生計をたてていらっしゃいます。米作りで出る米ぬかやくず米は鶏の餌になり、鶏糞や山羊糞は有機肥料として田畑に還元しています。
まずは今年生まれたばかりの子山羊たちに挨拶です。子山羊たちはおばさんパワーに警戒心が隠せませんが、私たちにかまってもらいたいと飛び上がって大はしゃぎする1歳半のワンちゃん「めいけんチーズ」がかわいいこと!
すっかりと体が冷え切ったところで、いよいよ試食タイムです。「セラ・シェーヴル」「フロマージュブラン」「カンムリ」はどれも優しくておいしい!
名古屋コーチンの貴重な卵でつくる人気の奈弥香さんの定番スペシャルケーキとプリンは固定客がいるので販売分はわずかしかありません。前回はお子さま一人でしたが、二人目が生まれますます忙しい日々を過ごされていますが、もともとバーテンダーだった奈弥香さんは、今も「バル伊右衛門」で仕事をされています。福山まで行くだけでも時間がかかりますが、気分転換になり、チーズ好きの人を増やすことができるからと嬉しそうに話してくださいました。


山羊さんたちが迎えてくれました


生まれたばかりの子山羊たち。警戒心が隠せません


羊も飼い始めました


重丸さんご夫妻

■ふくふく牧場

創業した福島県の「ふく」と牧場主の福元さんの「ふく」から名付けられた「ふくふく牧場」。甘日市出身の福元紀生さんは東京出身の奈津さんと大学時代に出会い、牧場経営の夢を語りあいました。紀生さんは大学卒業後、八王子の磯沼牧場で4年働いたあと、磯沼さんに譲ってもらったジャージー牛を連れて福島県いわき市に移住。土地を少しずつ開墾して2010年からチーズ製造をスタート。これからという時に東日本大震災。放牧地は原発事故で汚染され、福島を離れることを余儀なくされてしまいました。
厳しい状況の中、かつて和牛の里として知られていた口和町の人たちが手を差し伸べてくれたことが移住の決め手になったといいます。使っていない牛舎を譲ってもらうことができたことも幸運だったといいます。
5年前に訪問した時はバターづくりを体験。今回は放牧地に案内していただきました。
広い放牧地は3月に生まれた子牛をいれて5頭。やっと草が生え始めたところですが、桜が咲き、ゆったりと草を食むジャージー牛たちの気持ちよさそうなこと!
搾乳牛は2頭だけ、搾乳量は年間3000リットル。好奇心いっぱいに歩き回るジャージーのミルクは甘くてコクがあり、貴重なミルクからつくられるチーズはファンが多いのは納得です。
自然の中で暮らす福元家は3人の女の子がいますが、牛もチーズづくりも大好きで積極的にお手伝いをしてくれると奈津さん。忙しい中、試食のチーズもたっぷり用意していただき、幸せなひと時を過ごすことができました。

ご自宅の前にチーズ工房とショップがあります


放牧地を案内していただきました


かつて使われていた牛舎を再利用

放牧が始まりました


山を開墾して牧草地はどんどんと広がっています。


福元さんご夫妻

■乳ぃーずの物語。

製造は月~木の4日間。週末の3日はイベントや販売に専念しています。ショップは土日祝日の11:00~17:00まで。
工房のパンフレットに記載されているのは、
「新鮮無農薬、減農薬の有機野菜・米。地道に。丁寧に。こだわるチーズ。産直ショップ。」
そしてオーバーオールの男の子と、野菜籠と、おじさんのイラストです。
母体の「株式会社敷信村農吉(しのうむらのうきち)」は、出生人口減少により利用者が減少していた保育所をなんとか運営できないかと、2006年に地元有志で立ち上げた会社だといいます。田園地帯の特徴を生かし「農」を取り入れた保育と農産物の販売も開始。
工房がある庄原の西、七塚原は日本初の国営種牛牧場ができた場所。明治時代、ヨーロッパから牛を輸入し、品種改良をして北海道に送ったそうです。
ショーケースに並んだチーズはどれも美しいこと! 壁にはCPA主催の「ジャパンチーズアワード」の賞状がずらりと飾られていました。


ショーケースに並んだチーズ

高台にある工房と販売所

■三良坂フロマージュの牧場ピクニック

さて、いよいよ今回の主目的、牧場ピクニックです。
ストレスレスの家畜(牛、山羊、羊)の良質な乳を原料に松原さんのセンスで生み出されるチーズは国内外のコンクールで高く評価され、瞬く間に日本を代表するチーズになりました。松原さんのサービス精神は半端なく、いつもは山で自由気ままに過ごす山羊や羊たちを、私たちのために目の前の放牧地に移動させておいてくれました。まるで、山羊や羊たちが私たちの到着を待ちわびていたのではないかと感動してしまいます。
まずは楽しみなテーブルに、太田京子さん率いる広島チーズチームがチーズプラトーを制作してくださいました。
さらにアイディアマンで行動力があり、チーズづくりはもちろん、料理も大好きな松原さんが焼いたグラスフェットバーガーのボリュームといったら! そのうえカチョカバロをとろ~り溶かして、これだけでお腹いっぱいになりそうなのに、窯で焼いた本格的なピッツァまで。もちろんプラトーも崩してチーズと近くで作られているヴィノーブルビンヤードのワインを楽しみながらおしゃべりも忙しい!
「牛バラ肉のワイントマト煮込み」も最高においしい。デザートは放牧ミルクのワッフル。そして熱々つきたてのお餅でつくった苺大福。そしてなんとそこに香川から参加の滑石朋子さんのスペシャルパンデピスとタルトタタン。峰俊恵子さんのコーヒーゼリー。福間シェフのカヌレとお腹いっぱいなのに、デザートは別腹です!
お腹が苦しくなったところで、牛たちに会いに放牧地へ!
すばらしい1日に感謝です。


山羊たちが迎えてくれました


広島チーズチームによるすばらしいチーズプラトー


あっという間にカチョカバロはこんな姿に!

積極的にお手伝いしてくれる松原家の2人のお嬢さん


羊の赤ちゃんを抱いて記念撮影!


松原さんは2004年にチーズ工房を立ち上げ、2006年から山野を開墾。
牛たちも気持ちよさそう。

美瑛放牧酪農場

チーズプロフェッショナル協会が主催する国産ナチュラルチーズの品質評価コンテスト。2014年から各年開催で5回目となった2022年10月のコンテストは出品も工房数は119件、出品数は311品と過去最高!グランプリに輝いたのは「フロマージュ・ド・美瑛 夏ミルク」でした。
2023年10月、ギルドクラブジャポン主催のチーズツアーで念願が叶い、チーズ仲間たちと一緒に美瑛を訪ねました。なだらかな緑色の丘が広がる景色はオーヴェルニュのよう。私たちの到着を牛たちが待っていてくれました。
ここは、もともとおいしいパンをつくるために、おいしいバターをつくりたいと、西川社長が2009年に始めた牧場です。チーズ工房は2020年にスタート。製造を担当する小熊章子さんはチーズの製造をしたいと、自ら志願したといいます。約3年間、フランシュ・コンテ地方にある有名な専門学校でチーズを学び、現地の工房でも経験を積んで帰国しました。
40kgもある大型チーズを日本で製造し、世話をすることがどれだけ大変だろうって思います。でも小柄な小熊さんはニコニコと楽しそうに話をしてくれました。美瑛放牧酪農場の敷地内に建つチーズ工房は、コンテをイメージした円形。チーズ製造のための道具はすべて現地から調達とか。機器は進化しているとはいえ、まだまだ力仕事は多いはずです。
さて、ツアーで伺ったこの日は東京からヴィロンの山田グランシェフがわざわざやってきて、私たちのために腕を振るってくださり、豪華なランチとなりました。なんと、2年前の夏づくりのチーズと西川社長からマグナムのシャンパーニュのプレゼントまでありました。
食事が終わったころ、搾乳のために牛たちが一列に並んで牛舎に向かいます。それが私たちのほんの目の前を通っていくことに驚いてしまいました。誰もが感動するこのシーンをちゃんと描いて設計した西川社長。ほんとうにすばらしい!

そして、今年2023年10月末。一般社団法人中央酪農会議主催の第14回「ALL JAPANナチュラルチーズコンテスト」では出品数248品(109工房)の中、審査員全員が5点満点をつけて農林水産大臣賞に輝いたのが「フロマージュ・ド・美瑛」でした!

放牧地のある一本のポプラの木。ジャージー牛、ホルスタイン牛、ブラウンスイス牛、モンベリアード牛がいます。
日本初のモンベリアード牛はコンテという名前です。コンテの娘はモルビエ。未経産牛のモンドールとジェックス。合わせて4頭いるそうです。

コンテをイメージした円形のチーズ工房

左からMOFフロマジェのロラン・デュボワ氏、小熊章子さん
ギルドのロラン・バルテレミー会長、西川社長。

フロマージュとシャンパーニュがそろったスペシャルランチ!

搾乳の時間、牛たちは私たちの前を通っていきます。

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