本間るみ子オフィシャルサイト

本間るみ子オフィシャルサイト

チーズで巡るロンバルディアの旅Vol.5

隔年で開催されるイタリアのBRA CHEESE祭りはご存じですか。
スローフードのことも知らず、この場を初めて訪ねたのが1997年9月。EU統合に向けて原産地統制呼称のチーズ126種が集合するシンポジウム兼フェスタ「Cheese ’97」に行ったときのことでした。「SLOW FOOD」を知り、多くの出会いがあり、感動の連続でした。
ブラ祭りの楽しさを多くの人と分かち合いたいと、それ以来、隔年でツアーを開催。
2021年はコロナで訪問を断念せざるを得ませんでしたが、2023年に4年ぶりとなった訪問は懐かしい人々と再会し、多くの収穫がありました。
まず、ブラに向かう前に、バルバレスコの南西タナロ川を見下ろす小さな丘にある「カシーナ・ロッカリーニ」を訪問しました。

■カシーナ・ロッカリーニ Cascina Roccalini

現当主のパオロ・ヴェリオの曾祖父が1931年にこの土地を購入したことからワイナリーの歴史は始まりました。標高260m、パオロが目指すのは様々な植物や生き物が共存できる森に囲まれた環境です。21haある敷地の内11haは林とヘーゼルナッツの畑。ブドウ畑は10haありますが、収穫できるのはそのうち5haだけだそうです。隣は牛舎。科学的薬剤は一切使用せず、牛糞を使った土地づくりをしています。
美しい景色を目に焼き付けたあとはセラーを見学。土着の酵母、大きな樽での熟成を取り入れた年間生産量本数は1万本。淡々と語るパオロの姿勢は一切労を惜しまない本物の農民だと言われているのがよく理解できました。予約で完売となる貴重なワインをテースティングさせていただき、テロワールのすばらしさをしっかりと受け止めることができました。


360℃のパノラマ


タナロ川が見下ろせる小さな丘にあるワイナリー


貴重なワインを試飲させていただきました

■チーズショップ「ジョリート Giolito fromaggi」

ブラに着いたら真っ先にジョリートにご挨拶。ピエモンテのチーズを探す旅で親切にしていただいてからのご縁です。まるで博物館のような地下のカーヴはチーズ好きの人は必見です。彼のアイデアで生まれた酔っ払いチーズ「ブラチュック Braciuk」が伊勢丹で開催されたイタリア展で話題をさらったのはもう20年くらい前のことになります。
トリノのEatalyに出展したのを契機に日本のイイタリー(Eataly JAPAN)でもブラチュックは人気に! チーズ部門の責任者をつとめた片岡恵子さんは2019年4月、川場村に誕生した「KAWABA CHEESE」でチーズを製造。日本との縁で来日する機会がさらに増えたジョリートは大忙しですが、今回も私たちを歓待してくれました。
ところで、ブラ祭りの初日に開催されるマラソン「MARATOMA」のスポンサーの一人であるジョリートは、この年も優勝者に体重と同じ重さのチーズを贈るのだと聞きました。日本ではちょっとお目にかかれないユニークなアイデアです。

世界中からチーズ愛好家が集まるGiolito Formaggi
ブラ祭り期間中は試食メニューが人気です


ポスターは甥っ子のマルコと!


マラソン記念のTシャツ

いつも笑顔で迎えてくれるジョリート

狭い店舗にはこだわりのチーズが並びます

地下のカーヴは熟成中のチーズが並びます
左からアルペッジョのカステルマーニョ、こだわりのブラ、三段のモンテボレ

熟成庫に展示している古い道具や牛。センスの良さは真似したくなります

叩いて、パルミジャーノ・レッジャーノの音を聞く

■生産者と会えるのも、ブラ祭りの醍醐味

さて、会場では地元イタリアのチーズメーカー、ロッソ社のエンリコとマリア夫妻と会えました。彼らはアルピニストとしても活躍するたくましい夫婦です。つくるチーズは、伝統のマッカ-ニョはもちろんですが、「グラティン・ブルー」がほんとうにおいしい。しっかりと試食させていただきました。
もう一つのイタリアブースは、マッジョーレ湖の湖畔、アローナに会社を構えて世界にイタリアチーズを発信するグッファンティ社。カルロ・フィオーリさんやFOODEXに来日したジョヴァンニにはお会いできませんでしたが、営業担当のダヴィデと会えました!
フランスはサヴォワからパカール社が出展。いつも人が集まる賑やかなパカールブースですが、ブース代が高くなって今回は販売だけ。ジャンフランソワと弟のベルトランと子供たちも揃って楽しそうに仕事していました。
ポルトガルからはマイアさんと子供たち。2000年4月、ポルトガルの旅をしたことを懐かしく思い出します。
続いてイギリスは、布で巻いたトラディショナルチェダーに出会ったのが2003年。ニールスヤードデイリーの初代店主だったRandolph Hodgson氏に教えていただき、翌年に農家製チェダーの生産者モンゴメリーを訪問。ブラ会場には毎回、作り手で代表のジェイミーがブースに立っていることも感動します。

Caseificio Rosso(ロッソ)のエンリコとマリア。グラティン・ブルーはバランスがよいおいしさですが、また、新しく開発した赤ワインに漬けこんだ酔っ払い「BLU DI VINO」も別のおいしさがあって感動!

熟成にこだわるグッファンティ社の営業担当ダヴィデにも会えました


チームワーク最高、Paccard(パカール)ファミリー


ポルトガルから、TradifoodsのManuel Maia(マヌエル・マイア)ファミリー

プレシディオに登録されるチェダー生産者は3軒のみ。
そのなかからMontgomery’sのジェームスと、Westcombeのジョージの2軒が出展していました

■ベッピーノ・オッチェッリ Beppino Occelli

1994年10月に開催されたアルバのトリュフ祭りで、私の目をくぎ付けにしたオッチェッリのチーズたち。紐がかけられた筒形のクルティンやトゥーマ・ドゥラ・パーヤなど。センスの良さに惹かれ、訪問のアポを取り、翌年GWを利用して訪問。ファリリアーノの本社と標高1,000mにあるヴァルカソットを案内していただきました。
山の水を誘導した熟成庫には山のチーズが静かに眠っていました。このチーズを多くの人に伝えたいという想いが募り、1995年10月にツアーを企画。冬支度の始まったばかりの渓谷をチーズ仲間と再訪しました。
2001年からはブラ祭りに合わせて定期的に訪問。そのたびに村はどんどんと変わり、水車を利用した製粉小屋、カフェ、レストラン、宿泊施設まで整い、世界中からチーズファンが訪れるようになっていきました。
オッチェッリさんはBRA CHEESEの期間中、中庭付きの一軒家を借りて世界中のVIPを招待しています。挨拶だけしたいと思って顔を出すや、営業担当のアンドレアはすぐに席を用意してくれました。オッチェッリさんはちょうど取材対応中! それでも歓待してくださったことに胸が熱くなりました。


中庭付きの一軒家を借りて世界中のVIPを招待


オッチェッリさんはちょうど取材対応中

チーズのディスプレイは見事です


ピエモンテのワインが揃っています

チーズとワイン、デザートもしっかり楽しんできました


営業担当のアンドレアと


いつも歓待してくれるオッチェッリさん。
今回も会えて良かった!

オッチェッリの輸出担当だったオンブレッタと、イタリアのチーズの旅のドライバー&通訳のカールハインツ・ベルトルドにも会えました。
懐かしい話で盛り上がります。

pageTop pageTop pageTop